流れるような動きが特徴のピラティス。体の中心部にあるインナーマッスルを鍛えて、姿勢や骨盤の歪みを整えたり代謝を上げたりと心身ともにさまざまなメリットのある運動として人気ですが、その効果を高めるために大切なのが「正しい呼吸法」です。そこで今回は、ピラティスの呼吸法について、その特徴や基本の呼吸法を身に着けるポイントを詳しく解説していきます。
ピラティスの呼吸法は「胸式ラテラル呼吸」
ピラティスの呼吸法は「胸式ラテラル呼吸」と言って、「横に広がる」という意味の英語のlateralを語源としています。肋骨で囲まれている部分を横に広げるように呼吸する様子をイメージすると分かりやすいかもしれません。この胸式ラテラル呼吸を正しく行うことで、インナーマッスルを効果的に鍛えていくことができます。胸式ラテラル呼吸とは胸式ラテラル呼吸は、肩甲骨やその下の肋骨など背中部分を広げる呼吸法のことです。具体的には、背中を意識しながら鼻から息を吸って胸を膨らませ、広げた肋骨を閉じるようなイメージで口から息を吐いて胸をしぼませます。ポイントは、息を吸う時に胸を膨らませ、お腹は膨らませないということ。息を吐く時も同様に、お腹は引き締めたままで胸を閉じます。お腹を引き締めつつ、力を抜く必要があるため、コツをつかむのに時間がかかるかもしれません。腹式呼吸との違いピラティスの呼吸と混同されがちな呼吸法のひとつに、「腹式呼吸」があります。おへその下にある丹田という部分を意識しながら鼻からゆっくり息を吸い、口から吐くという呼吸法です。息を吸う時には自然とお腹が膨らみ、吐く時にはお腹がへこむのが、胸式ラテラル呼吸との一番の違いでしょう。腹式呼吸は副交感神経を優位にして体をリラックスさせる効果があります。緊張を和らげ、自律神経のバランスを整える働きがあるため、就寝前に腹式呼吸を行うことで質の良い睡眠になると言われています。ヨガの呼吸法との違いピラティスの呼吸法とヨガの呼吸法にはどのような違いがあるのでしょうか。ヨガの呼吸法は「完全呼吸法(ダーガプラーナヤーマ)」と呼ばれていて、胸式と複式呼吸を組み合わせたものです。鼻から吸って鼻から吐くのが特徴で、お腹を膨らませる・へこませるという動きに意識を向けます。腹式呼吸と同様に副交感神経を優位にするため、気持ちが落ち着いてリラックスした状態に導くことができます。
ピラティスの呼吸法のコツ
ピラティスの呼吸法は一般的な腹式呼吸とは異なるため、慣れるまで難しいと感じる方も多いでしょう。ここからは、ピラティスの呼吸法のコツをご紹介していきます。肋骨の動きを感じながら呼吸をするピラティスの呼吸法「胸式ラテラル呼吸」では、お腹を膨らませず引き締めておくことがポイントです。慣れるまでは、肋骨の下あたりに手を置いて、お腹がしっかりと引き締まっているかを確認しながら行うと良いでしょう。背中のストレッチをする胸式ラテラル呼吸を上手に行うためには、正しい姿勢も大切です。ポイントは、骨盤の上に背中が乗っていること。頭の先が引っ張られているようなイメージで立ちましょう。呼吸のたびに肩に力が入ってしまったり、肩が上下したりしないように気を付けます。また、背中が硬いと肋骨が広がり切らないため、背中のストレッチをすることもおすすめです。ゆっくり息を吐く呼吸をするときには、足元から大きく息を吸い込むようなイメージでゆっくりと鼻から息を吸い、その倍の時間をかけてさらにゆっくりと口から息を吐いていきます。一度に吐き切ってしまうのではなく、口から少しずつ吐き出していくイメージです。
ピラティスの呼吸法の効果
ピラティスの呼吸法は、インナーマッスルを効果的に鍛えることができるだけでなく、さまざまなメリットがあります。ここからは、ピラティスの胸式ラテラル呼吸について、その効果を詳しく見ていきましょう。酸素をたくさん取り込んで体の機能を高めるピラティスの呼吸法は、一度にたくさんの酸素を取り込むことができます。肺にたっぷりと送り込まれた酸素は、心臓のポンプ機能によって体の隅々にまで届けられ、その結果エクササイズの効果が高まるだけでなく、血行が良くなったり、新陳代謝がアップしたりします。また、酸素を体の隅々に行き渡らせる動きによって、心肺機能も鍛えられます。交感神経を優位にし、体を活動モードに切り替えてくれる胸式呼吸は交感神経を優位にするため、朝に行うことで体をスムーズに活動モードに切り替えることができます。胸式呼吸によって酸素を多く取り込むことで頭もスッキリして、日中のパフォーマンス向上にもつながるはずです。ただし、交感神経が優位になるため就寝前に行うと、頭が冴えてしまって眠れなくなってしまうことも。ピラティスの呼吸法については、上記を参考にしてみてください。